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  • 2023.07.07
  • スポーツサイエンス(スポーツDX)とは?取り組むメリットと課題

スポーツサイエンス(スポーツDX)とは、デジタル技術を活用してスポーツのプロセスや価値の改善を図る試みのことです。スポーツサイエンスが注目されている背景や取り組むメリット、主な課題についてまとめました。

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)が幅広い業界で注目を集めています。スポーツ界においても、DXを取り入れることで改善や価値向上を図る試みがなされていることをご存知でしょうか。

今回は、スポーツサイエンス(スポーツDX)の概要と注目されている背景、取り組むメリットについて解説します。スポーツサイエンスが抱えている主な課題と解決策の一例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

スポーツサイエンス(スポーツDX)とは

そもそもスポーツサイエンスとは、どのような取り組みのことを指すのでしょうか。はじめにスポーツサイエンス・スポーツDXの概要を解説します。

スポーツサイエンスの概要

スポーツサイエンスとは、スポーツを考察の対象とした学問の総称です。スポーツ科学・体育科学とも呼ばれ、体育学・スポーツ心理学・生理学・バイオ科学・栄養学のほか、ビジネスマネジメントといった多方面の学問に関わりのある学術分野とされています。

スポーツサイエンスが実現を目指しているのは、運動と身体の関係を科学的な視点から分析・解明し、スポーツ選手のコンディションを整えたり、効果的なトレーニングの実践に役立てたりすることです。

スポーツDXとは

スポーツDXとは、デジタル技術の活用によってスポーツのプロセスや価値の改善を図る試みのことを指します。従来は選手やコーチの経験に基づいて行われてきたトレーニングやコンディション調整の精度を向上させることが主な目的です。

センサーテクノロジーによる選手の身体の動きの解析や、競技などから得られたビッグデータの解析、AIやVR技術を活用したトレーニング方法の導入など、デジタル技術の活用シーンは多岐にわたります。デジタル技術を取り入れることでスポーツ競技のレベルアップを図るだけでなく、スポーツビジネスの活性化を図ることなども期待されています。

スポーツサイエンスが注目されている背景

スポーツサイエンスが注目されている背景には、複合的な要素が関わっています。主な要因は次の3点です。

①国がスポーツDXを推進している

スポーツ庁では「スポーツ立国」を掲げ、2012年4月より「スポーツ基本計画」を実施しています。2022年度より「第3期スポーツ基本計画」を実施していくにあたり、5年間で次の12施策に取り組むことが決定しました。

  1. 多様な主体におけるスポーツの機会創出
  2. スポーツ界におけるDXの推進
  3. 国際競技力の向上
  4. スポーツの国際交流・協力
  5. スポーツによる健康増進
  6. スポーツの成長産業化
  7. スポーツによる地方創生、まちづくり
  8. スポーツを通じた共生社会の実現
  9. スポーツ団体のガバナンス改革・経営力強化
  10. スポーツ推進のためのハード、ソフト、人材
  11. スポーツを実施する者の安全・安心の確保
  12. スポーツ・インテグリティの確保

出典:スポーツ庁「第3期スポーツ基本計画の概要

2. に「DXの推進」が挙げられている通り、国がスポーツDXを後押ししています。国の方針として掲げられていることは、スポーツサイエンスが注目されるようになった重要な理由の1つといえるでしょう。

②国際競争力の強化が求められている

近年、国際的に活躍する日本人アスリートが増えています。一方で、科学的な知見にもとづくトレーニングやサポートが可能な環境が整っている海外に活動拠点を移すアスリートも少なくありません。優秀な選手が海外へと流出していく一因であることから、国内においても科学的分析にもとづく選手のフォローが急務となっています。スポーツサイエンスは、今や日本のスポーツ界における国際競争力を強化する上で不可欠な取り組みとなりつつあるのです。

③健康意識の高まり

日本は急速な少子高齢化の只中にあり、健康に年齢を重ねていくことに対して多くの人が関心を寄せています。健康な身体づくりの一環として、栄養学に関する基本的な知見や日常生活に取り入れやすい体操などの知識の重要度が増しているのです。人々の健康意識が高まるにつれて、スポーツをより科学的に研究する学術領域が重要視されるのは自然な流れといえるでしょう。スポーツサイエンスが注目を集める背景には、健康意識の高まりが深く関わっているのです。

スポーツサイエンス・スポーツDXに取り組むメリット

では、スポーツサイエンスに取り組むことによって具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。スポーツ競技などに出場する選手と、競技を観戦する観客の視点からそれぞれのメリットを考えてみましょう。

①選手のパフォーマンス向上

客観的なデータをもとにトレーニングプログラムを最適化したり、コンディションを整える方法を見いだしたりすることにより、選手が各々の強みを発揮しやすくなります。その結果、選手のパフォーマンス向上につながるでしょう。著名なアスリートだけでなく、若い選手を育成していく際にもスポーツサイエンスから得られる知見が重要な役割をはたしているのです。

②ファンエンゲージメントの強化

スポーツDXは、競技を観戦する側にもメリットをもたらします。競技会場に足を運ばなくても自宅などで臨場感のある観戦体験を得られたり、リアルタイムで試合の状況を把握できたりするからです。ファンと選手の距離がいっそう縮まり、ファンエンゲージメントの強化につながる効果が期待できます。スポーツDXは、より多くの人にとってスポーツを身近な存在にしていく可能性のある試みといえるでしょう。

スポーツサイエンスの課題

スポーツサイエンス・スポーツDXには多くの期待が寄せられている一方で、解決するべき課題を抱えているのも事実です。顕在化しつつある主な課題として、次の3点が挙げられます。

①収集するデータの品質・検証結果の信頼性

データをもとにトレーニングプログラムの構築や選手のケアを行うには、データが十分に信頼できることが前提となります。収集されたデータの品質や検証結果の信頼性が厳しく問われているのです。

たとえば、トレーニングや競技中の選手の動きをデータ化した際、正確なデータが取り込めていない可能性も十分に考えられます。結果として、不正確なデータにもとづいてトレーニングやケアを実行してしまうリスクも孕んでいるのです。データの品質や検証結果の信頼性が担保されているか、十分に確認しておく必要があるでしょう。

②選手のプライバシー保護

スポーツDXにおいて収集されるデータには、選手の心身の状態に関わるデータなど取り扱いに注意が必要なプライバシー情報が多数含まれています。万が一、こうしたデータの流出・紛失・盗難などが生じた場合、重大なトラブルへと発展する恐れがあるのです。

選手のプライバシーを保護するには、企業としてのガバナンス整備が不可欠となるでしょう。データを扱うシステムのセキュリティレベルを高めるほか、関係者の個人情報に関する意識を高めるための研修・教育を実施するなど、さまざまな対策が必要となります。

③データを適切に扱える人材の不足

収集したデータを適切に利活用していくには、専門的な知見が求められます。たとえば、データサイエンスや統計学、機械学習などに関する知見・技術をもつ人材を確保する必要があるでしょう。こうした人材を確保できなければ、たとえデータを収集しても適切に扱えない可能性があります。

データの利活用に精通した人材はスポーツサイエンス以外の領域でも多くの需要があるため、人材の確保は決して容易ではありません。データを適切に扱える人材の不足は、スポーツDXを実現していく上で大きな課題の1つといえるでしょう。

エイジェック「スポーツサイエンス」のご紹介

エイジェックグループでは、スポーツサイエンスに精通したスペシャリストによるパフォーマンス支援サービス「エイジェック スポーツサイエンス」を提供しています。各専門家による多分野での支援(マルチサポート)と専門分野に特化した支援(エキスパートサポート)、管理栄養士による食育講座や栄養講習といった栄養サポートに対応可能です。 ここではマルチサポートについて紹介します。

①選手のパフォーマンス向上を支援するトレーナー

「エイジェック スポーツサイエンス」のトレーナーは、多方面からアスリートの指導やパフォーマンスの向上をサポートしています。具体的な支援内容は次の通りです。

  • トレーニング指導

    競技の時期にピークパフォーマンスを発揮できるよう、アスリートごとにトレーニングプログラムを作成し、プログラムに沿った実践の指導を行います。

  • ファンクショナルテスト

    関節可動域や各関節の筋力を測定し、アスリートの身体機能を改善・向上させるためのアドバイスをします。

  • パフォーマンステスト

    ストップウォッチよりも精度の高い「光電管」を用い、スプリントタイムを計測します。

  • コンディショニング

    傷害を負ったアスリートのコンディショニング再獲得や、競技復帰プログラムを提供しています。

  • 医療機関連携

    傷害により医療機関の受診が必要となった場合、担当医と連携してアスリートのケアに取り組みます。

  • 試合帯同

    各種大会や試合時は選手に帯同し、ウォーミングアップのアドバイスやテーピング、救急時の対応などを行います。

②選手の身体づくりを支える管理栄養士

管理栄養士がアスリートの身体づくりを栄養面から支えます。具体的なサポート内容は次の通りです。

  • 体組成測定

    筋肉量・体脂肪量を測定し、経時的な身体の変化をデータで捉えます。その上で、個々の特性に応じて必要量を提案します。

  • 栄養指導

    体組成測定結果をもとに、アスリート一人ひとりの食事の目標設定や最適な栄養メニューを提案します。

  • 栄養講習会

    試合期に必要な食事内容・栄養素や、オフシーズンの身体づくりなど、シーズンに合わせたテーマで栄養講習を実施しています。

③選手のスキルをサポートするアナリスト

「エイジェック スポーツサイエンス」には、アスリートを徹底分析し、スキル向上をサポートするアナリストが在籍しています。野球における具体的なサポート例は下記の通りです。

  • 打球速度計測

    プロ野球でも使用されている球質測定器「TRACKMAN」を使用し、打球速度を高精度にて計測します。

  • スイング速度測定

    スイングの速度や角度、時間、軌道などを詳細に測定します。

  • 送球速度測定

    野手が捕球後、アウトをとるために必要な「送球」の速度を測定し、選手にフィードバックします。

  • 盗塁タイム算出

    投手が動き出してからの反応速度や、スライディングスピードを含めた盗塁タイムを算出し、盗塁の成功率を高めます。

  • 球質測定

    「TRACKMAN」を用いて、投球の速度・回数・変化量を測定します。

  • ハイスピードカメラ撮影

    スポーツサイエンスの研究でも活用されているハイスピードカメラを用いて、1秒間に最大600コマのスロー映像を撮影します。

まとめ

スポーツサイエンス・スポーツDXに関する取り組みは、選手・ファンの双方にとって多くのメリットをもたらします。一方で、収集データの信頼性やプライバシーの保護、データを適切に扱える人材の確保など、課題となり得る点も多々あるのが実情です。

エイジェックグループの「エイジェック スポーツサイエンス」は、アスリートの皆さんを適切かつ強力にサポートするスポーツマネジメントサービスです。スポーツサイエンスを実践されたい事業者様は、ぜひエイジェックグループにご相談ください。

【 エイジェック スポーツサイエンス 】

「スポーツサイエンスを駆使した効率的なステップアップを」をコンセプトに、アスリートの競技力向上のために必要な「身体」「食事」「データ」に関するサービスを提供しています。